Nice guy

 

今日は疲れた。

訓練は相変わらず厳しいし、上官には殴られるし・・・・・

神羅兵の訓練は、戦争が終わったからといって、甘くなるものでもなかった。

上官は、虫の居所が悪かったらしい。

「お前はじっとしていられんのかっ!!」

ばきっ!!

顔に寄ってきた虫を追い払うために、首を振ったら殴られた。

「たるんどる!」

どかっ!!

カッとしても、上官に抵抗はできない。俺は怒鳴られ、殴られ、蹴られ続けた。

他の奴らも何だかんだ難癖付けられては殴られてたっけ。

「ふぅ」

こういう日はやっぱり、早く帰って寝るに限る。

明日は休みだし、ゆっくりしよう。

俺は、家までの道を歩きながら、それだけを考えて歩いていた。

 

「ク〜ラ〜ウ〜ド〜!!」

がしっ!!!!

「うっ」

動かない体がっ。誰かが後ろからはがいじめにっ。いや「誰か」じゃない。

「ザックスっ!!」

ザックスを振り払おうとしながら抗議する。

「いい加減にしてくれ!あんたの相手をしてやれるほど暇じゃないんだよっ。」

本当は「暇」じゃなくて、「気力」「体力」がなかったのだが、このソルジャー・ザックスに多少の見栄をはったのだ。

「いつでも部屋にいるくせに。何の用事があるってゆうんだよ。」

手を離しながら、ザックスは言う。

「『いつでも』じゃない。俺にだって用事ぐらいある。痣になるじゃないか、全く。さすがソルジャーだよ。」

腕をさすりながら反論すると、嫌みには気付かず、

「まさか、用って女か?」

ザックスは俺の前に回って、顔を覗き込むようにして聞く。

何でそういう思考回路をしてるんだ・・・・この男は。

ぶっ飛んだ思考回路に呆れていると、

「いや、まさかなぁ。俺が見ていたところ、おまえには彼女は居ない!!」

びしっ!!

指さされて、断言されてしまった。

「・・・何でそうなるんだ・・・」

「何でって、おまえに女の子を口説けるわけがないだろ?。というわけで、今日、暇だろ?飲み行こうぜ。」

・・・・・・・こいつは・・・・・・・

「一人で行けよ。何で俺が付き合わなきゃいけないんだ。それとも、他に誘うヤツが居ないのか?」

「冷たいこと言うなよ〜。俺とお前の仲じゃないかよ。な、行こうぜ、決まりだな。」

俺の腕をつかんで、ザックスは歩き出した。引きずられるようにして、渋々俺も歩く。

「行くなんて言ってないぞっ。おい、ザックス、おいってば。」

「いい店見つけたんだ。酒もうまいし、料理もいけるんだぞ。可愛い女の子もいるし。」

俺の言うことなんか聞いてないな、こいつは。

「ああそうだ、あっちの店もいいんだよなぁ。まだお前連れていって無かったし。」

「どっちにしようかなぁ。まてよ。そうか、あそこって手もあるなぁ。」

「よし、今日はあそこに決まりだっ。」

ザックスが、1人で迷って1人で結論を出す頃には、俺はすっかり早寝をあきらめきっていた。

こいつにかかったら、まず抵抗は無駄ってもんだ。

どうやらこいつは、ソルジャーの大先輩である、英雄セフィロスまで飲みに誘っているらしい。

まあ、セフィロスは、俺みたいにそう簡単には落ちないらしいが・・・・・

何だか俺はこいつに弱い。良いヤツなんだが、人の都合なんて気にも留めないからな。

などと考えてながらズルズルと歩いていたら、

「な、いいだろ?明日休みなんだし。」

突然、立ち止まったザックスが俺を覗き込んだ。

「な、何が?」

「俺の話、全然聞いてなかったな。」

「そ、そんなことは・・・」

「ま、いいか。今夜は夜通し飲もうぜって言ったんだよ。」

「夜通しぃ?本気か?」

嘘であってくれ。

「あ・た・り・ま・え」

そう言って、俺の腕を放したザックスは、すたすたと歩いていく。

と、思わず呆然と立っている俺を突然振り返り、

「むしゃくしゃする時には、思いっきり飲んで騒ぐのが一番だぜ。」

顔中に人の良い笑みを浮かべて、そう言った。

 

「はぁ〜」

たまには、夜通しザックスに付き合って騒ぐってのもいいか。

溜息をひとつついて、俺は歩き出した。

 

ところで、何で俺の休みだの、今日むしゃくしゃしてることなんか知ってるんだ?あいつは。


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